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■ 夜行

少し早いかなと思いながら 新潟駅の改札をくぐると
「きたぐに」の入線を告げるアナウンスが流れた 出発時刻より30分も早い
この嬉しい粋な計らい 特に冷え込んだ晩には有難い
3番線に滑り込んで来た
10号車はどこかなと探すと 最後尾

車内に入ると 寝台車ってこうだったなと思い出す
かなり窮屈な寝台に入る
寝台に座って どうにかアタマが上の寝台につかえない空間
身支度をして 買っておいた駅弁を開け ビールで流し込む
すると
なんと!
もうすることがない
銭湯でさっぱりしてホコホコしているし もう寝るしかない
うとうとしかけると 間もなく出発するという放送が入り
どこそこには何時何分に着くと教えてくれる
そうか 金沢には夜中の3時過ぎか...
急行だからなのか 思いのほか多くの駅に停まる

やがて
ゴトッという感じで 動き始めた
昔だと「次は~ 新津 新津」とホームのアナウンスが聞こえただろうけど
今では そんなアナウンスはあるわけもなく「きたぐに」は新潟を離れる
ボクには新津に停まった記憶もない
かといって 朝まで一直線だったわけでもなく
何度かは浅い眠りから覚醒したような気もする
Dホテルのベッドで過ごす一夜くらいには眠れたような...
糸魚川 富山 金沢 福井 米原も夢の中
大津の手前
「おはようございます」で再開された車内放送で目が覚める
カーテンが掛かった窓の向こうはもう明るい
夜汽車を楽しむというよりも すっかり眠ってしまった


初めて夜行列車に乗ったのは まだ10代のころ
青森からの「津軽」だったような気もするし
稚内からの「利尻」だったのかもしれない
もちろん寝台ではなく座席 四人掛けのボックス
身体を「くの字」にまげて横になる
「十和田」「八甲田」「鳥海」にも乗った
寝台は青森からの「はくつる」が最初 三段式の上段で上野に着くまで熟睡してた
大阪から出雲まで「だいせん」の寝台も使ったし
九州へ「あかつき」で行ったこともあれば
青春切符を使って窮屈な「ムーンライト山陽」にも揺られたな
社会人になってからは「はやぶさ」「富士」「あさかぜ」「銀河」などで
山陽路や東海道を駆けたこともあった
この「きたぐに」も 今回で二回目のような気がする(いや三回目かな?)

カーテンで仕切られた寝台という与えられた空間に入ってしまうのは
有難いけど なんだかもったいない
“夜汽車”という風情は座席車でこそ味わえるのかな
(でも 実際にはもう勘弁してもらいたいけどね)
それは
気候が良いときや夏ではなく やっぱり寒い寒い冬がいい
誰もがしゃべるのにさえ疲れてしまい レールの継ぎ目の音だけが響く車内
そんな 気だるい車内に 時折 警報機の音だけが通り過ぎていく
な~んにも見えない暗闇 ポツンと明かりが見えたり
何軒かの家の明かりが固まっていると
やがて街になるんだけど その街には停まらない
びゅ~と通り過ぎるホーム その駅が何という名前なのか目をこらして見るけれど
そこそこスピードが出てる車内からは読み取れない
やがて
駅に近づいた放送が流れるけれど その駅名はまだボクの目的地ではない
持ち込んだ本や雑誌には とうの昔に飽きてしまっている...

結局
10号車には三人しかお客さんが乗っていなかった
この「きたぐに」いつまで走り続けるのだろう?
次のダイヤ改正では危ないかもしれない
ボクが次に夜行に乗るのは
もし もう一度 秋田での仕事が入れば「日本海」ということになるかな
このブルトレだって
その秋田の仕事が決まるまで走ってくれているのかどうか...
そうなったら
仕方ないから 前日に飛行機で入って泊まるしかないか
by hangzhou21 | 2010-04-26 22:55 | けんちゃな日記 | Comments(0)


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